【絵画から物語を考えるシリーズvol.4】
「あ!ほら、あったよ!」
「シッ!静かに。」
本当に見つけた。ここはどんな詳しい地図にも載っていない湖。この深い深い森の奥のどこかにあると言われている秘境の地。話によると、ここには条件が整うと、それはもう美しい光が降り注ぐと言っていた。そもそもここに来たのは、私のおばあちゃんもおじいちゃんと一緒にこの湖を探しに行ったといつも話してたから。それはもちろん若い頃の話だけど、いつも夢物語みたいに話すから、本当にあるとは思わなかった。だけどその話をする時は、おばあちゃんが少女みたいな顔になってたから、ウソだとも思わなかったんだけど。
光が降りるその先には先客がいた。寄り添った2羽の白鳥が、まるで恋仲のように見えた。彼らもこの光を求めて、ここへたどり着いたのだろうか。見様によっては、2羽のために光がここに降り注いでいるかのようにも見える。
「まるで彼らを祝福しているみたいだ。」と、彼は言った。
光はシャボン玉のようにゆっくりと動きながら辺りに一面に散りばっていて、次から次へと空から降ってくるみたいだった。誰にも邪魔されずに想い合える、秘密の場所。だから、ここを見つけた人たちは誰もここを地図には描こうとはしないのかもしれない。
「キレイな光・・・、まるで愛が目に見えるみたいね。」
大切な誰かの幸福をずっと祈っていたくなるような、この愛を感じ続けたいと思うような、そんな気持ちにさせてくれる。光が降り注ぐ条件は、まさに愛がそこにあることなのかもしれない。
この白鳥たちだけの秘密の場所。そして、今は私たち2人だけの秘密の場所。
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title:『Twilight』
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